小川銀次とCrosswind

2015年8月2日、小川銀次が亡くなった。58歳だったそうだ。ご本人のブログを見ると2014年夏頃から癌と闘っていた様で、2015/7/17が最後の書き込みになっている。

1970代後半にリチャードが好きになった日本人ギタリストの3人目が小川銀次だった。竹田和夫→森園勝敏→小川銀次の順番。(その次は芳野藤丸)

当時の小川銀次のギタープレイは「弾きまくるっ!クレヨンで書いた動画の挿絵が見えるっ!」という感じの印象。高校生のリチャードは彼のライブを観ながら何か凄まじいものを感じた。

小川銀次がデビューしたバンドCrosswindを最初に観たのは1978年か1979年で、銀座(Lo-D)ローディープラザ。タダでライブが観れて整理券を持っていると備え付けのLo-Dのカセットデッキで録音できるという夢の様な場所。CrosswindもLo-Dプラザも知らないリチャードを、高校の同級生だった村山君が連れて行ってくれたのだった。Crosswindに打ち抜かれたリチャードは村山君からCrosswindの1stアルバムを借りて、高校内の購買でTDKのカセットテープを買い、高校内の視聴覚室でテープにダビングしたのだった。

その後、自分でもレコードを所有したくなり、エルボンレコードという当時ちょっと怪しく思えたレーベルから出ていたCrosswindの1stを買った。一般的なレコード屋では扱っていないのでDisk Union辺りで買った気がする。ちなみにエルボンレコードからは同時期にシーナ&ロケッツもデビューしている。

村山君はギターが上手くて、その上、カッコよかったので忙しい。なので、その後、Lo-Dプラザへはリチャード君は一人で何度か足を運んだ。渋谷屋根裏にCrosswindのライブを観に行った記憶もある。Crosswindを紹介してくれた村山君には今でもとても感謝している。

1980年頃のロッキンfという音楽雑誌にFrank ZappaのDiscography特集があって詳細な解説付き。ザッパを聴きあさっていたリチャードの教科書的な記事であった。これの一部を書いていたのも小川銀次だった。これでまた小川銀次が大好きになった。当時、Frank ZappaとかAllan Holdsworthとかの話を高校で出来る雰囲気は無かったので、この手の話は、もっぱらDisk Unionの店員さんとするか、趣味が同じな仮想の先輩、小川銀次との仮想会話だった。

表参道の地下鉄の駅で、ギグバック2つ抱えてオーバーオールに雪駄の小川銀次を数回見かけた。こちらが「あっ!」って表情をすると、毎回「えっ?(笑)」とか「よっ!(笑)」とか反応してくた。

Crosswindは2ndも謎のエルボンレコードから出たので、もちろん購入。彼がRCサクセションへ参加、弾きまくり具合はCrosswindには及ばないが、彼の名前が一般的に知られるようになっているのは喜ばしい事。

Grecoに特注したアレンビックの様な形をしたギターを使っていて、DiMazio Pickupが搭載されていた。GrecoのオリジナルギターGOシリーズの元になったという噂もある。当時、流行っていたゴダイゴのGOなのかGingi OgawaのGOなのか。

Lo-Dプラザで見た時は、Grecoオリジナルギター→MXR Dyna Comp→BOSS CE-1→ボリュームペダル→MAXON Analog Delayという感じだったと思う。歪はダイナコンプとCE-1の入力レベルで作っていると何かのインタビューで読んだ覚えがある。

そういえば、高校生の頃のリチャードの私服はオーバーオールに雪駄。小川銀次の影響だ。口髭は竹田和夫の影響。ナス型セルロイドのレンズがブラウンのメガネは芳野藤丸の影響。日本人ギタリスト3人の影響を受けた高校生リチャード、見れたもんではない(汗)。

1982年には、謎のエルボンレコードでなくキティレコードから3rdアルバム「そして夢の国へ」が発売され普通のレコード屋さんでCrosswindのアルバムが買える状況になった。音も多少綺麗になって少しは録音にお金が掛かっている感じ。

その後はソロ名義のアルバムが続けてリリースされ、この3枚まではCDを買って追っかけていた。

Private Pieces 1986~1987(1991)

InnerWIND(1991)

InnerWIND2 (1992)

その後、Private Diaryというシリーズで音源が発売され続け、2000年以降に「大銀醸」という12枚組ボックスセット(約3万円)が出た。いつかは大銀醸をと思っていた。2年程前に小川銀次と親しい方とネットで知り合った。「シルバーエレファントでのライブに行きますねー!」とか言ってしまったのだが観に行くことができず。ごめんなさい。でも、本当に観たかった。

小川銀次が参加していたCrosswindのオリジナルアルバムの収録曲は以下の通り。

■「Crosswind」(1978) Elbon Records
蟻の大移動
猫と小鳥の不思議な旅
流氷
ダンサー
長いレール
だんだん畑で鬼ごっこ
夕やけ
クロスウィンド

■「Crosswind II」(1979) Elbon Records
マッドマウス
大きな子供の宝探し
インドぞう
仕事の後のうまい飯
天まで昇れ
夕暮れの海辺
脱走
Crosswind II

■「そして夢の国へ」(1982) Kitty Records
森は不思議なおもちゃ箱
あそこへまっしぐら
みのむし
海太郎とりんご
クロスカントリー
百獣の王
川のほとりで一休み
そして夢の国へ

2012年頃にCrosswindのアルバムがCDで再発され、ボーナストラックでライブ音源まで入っている。1stと2ndは今でも愛聴盤だ。小川銀次が亡くなってしまい市場に少しだけ残っていた再発CD在庫も無くなりつつある。小川銀次のCrosswindに興味を持った方は、是非、Crosswind 1stを聴いてみて欲しい。粗削りだが生々しい小川銀次20代前半の弾きまくりを楽しめます。

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