ギター・ベース製作の会社Deviser(ディバイザー)の工場見学に行ってきた。
とても楽しい時間と経験で、行って良かったし、何よりも自分のギター(Bacchus Handmade Series)に更に愛着を持った。
数日前の申し出にも関わらず、いろいろ調整して頂いたDeviser広報の竹内さんには本当に感謝している。
Steve Arrington Bandのギタリスト Derrick WeemsがChicagoからプライベートで来日していたので、日本の楽器屋巡りに連れて行こうと考えていた。御茶ノ水と渋谷のどちらの楽器屋巡りがいいかな?と思いを巡らせていたのだが、時間は十分に取れそうだったので前から行きたかったギター工場見学に連れて行く事にした。東京からは車で3.5時間掛かるし、公演で来日した際には訪問する時間は取れないので連れて行くには今しかない。本人に伝えたら「Cool !!!」を連発してくれたので、会社を休んで一緒に見学に行ってきた。リチャードもMUGEN BlastersでのメインギターがBacchusという事もあり、いつかは行きたいと思っていたのだった。
■ディバイザーと取扱いブランド
Deviserはギター・ベースを製作している国産メーカーで、長野県松本市にある。
取り扱っているブランドは以下の通り。
Headway Guitars アコースティックギター・ウクレレ(1977年に百瀬氏をビルダーに据え設立した老舗ブランド、不審火事件による工場火災からも復活)
Bacchus エレキギター・エレキベース(松本工場でのハンドメイドラインとフィリピン自社工場や中国工場で作られた低価格ラインを擁するブランド)
Momose エレキギター・エレキベース(百瀬恭夫氏が監修する百瀬氏の名前を冠したブランド)
Seventy Seven エレキギター
STR エレキギター・エレキベース(工場長・チーフビルダー 八塚悟氏と熟練ビルダーが製作)
Kumalae Ukulele ウクレレ
Mabuhay Ukulele ウクレレ
Diamond Guitar Pedals エフェクター
Deviser MI アクセサリー
Mojotone リプレイスメント・ピックアップ
SH Guitars ウクレレギター・ウクレレベース
■ドライブ
2016/4/15(金) 朝、Derrickが泊まっているホテルまで車で迎えに行った。Derrickはリチャードのスバル フォレスター(ヴェネチアンレッド)を見るなり「I know, MUGEN Blasters is Red ! Nice truck !」と言っていた。「日本ではトラックという言葉を使わないけど。映画などでは確かにTruckと言っていたな」と思いながら9:30に出発。既に予定より30分遅れていた。彼は日本で誰かの車に乗るのは初めてなので、楽しそう。
彼は首都高から見える東京タワーに少し興奮している。首都高の渋滞は大したことは無くて、車は中央道へ。
天気が良かったので、途中、富士山が良く見えた。かなり大きく見えるポイントもあるのでDerrickはその雄姿に興奮していた。あまり中央道を使わないリチャードもその大きさにちょっとびっくりした。
日本のSA(サービスエリア)も体験させたかったので、談合坂でアイスクリーム。
諏訪湖SAでランチ。目の前に諏訪湖が綺麗に広がっており、桜も良い時期で最高。「俺たちFunkerだからLakesideだ!」とか言って盛り上がった。
■工場に到着
諏訪湖SAからは20分ほどでDeviserに到着。事前に連絡はしたが、約束の時間から1時間遅れてしまった。
到着するとディバイザーの広報 竹内さんが出迎えてくれた。
まずは2階にあるショールームへ案内される。ギターとベースが飾ってある夢の様な空間。
竹内さんの説明を超テキトーなリチャードの翻訳でDerrickに伝える。まぁ同じギタリストなので、なんとかなるものだ。ちゃんと伝わっていた。
ディバイザーでは木を買い付けてそれ以降の作業はこの工場で完成までを行っている。(海外生産品は除く)
■説明をしてもらって試奏
竹内さんがストラトシェイプのBacchus Handmade Series G-StudioをDerrickが試奏するだろうと思って用意していくれていた。流石だ!リチャードが使っているテレキャスターシェイプのストラト版のこのギター、弾きやすさと音色をDerrickに弾いてみて貰い体感して欲しかったのだった。
弾きはじめると、早速、良い音を出している。Bacchus Handmade Seriesのオイルフィニッシュの音だ。
竹内さんに聞いてみた。
リチャ「リチャードが最初に楽器屋でBacchus Handmade SeriesのT-Masterを試奏した時、低音のブリッっとした感じや全体的にタイトで粘りのある音にビックリしたんですよ。Derrickが弾いているのを聴いていると同じ感じを受けるから、このシリーズ独特の何かがありそうですね?」
竹内氏「ネックポケットとネックがピッタリ作られているなどHandmade Seriesのきっちりした作りが影響していると思います。あとはオイルフィニッシュの効果も。」
リチャ「なるほど。Handmade Seriesは全部この工場で作られているんですか?」
竹内氏「Handmade Seriesは全部ここで作ってます。正直、この価格ではものすごく安いと思っています。」
リチャの心の声(他の国産ギターと比較すると5万から10万は安いと思う)
竹内氏「Bacchusは低価格ラインをフィリピンで製造してますが、それも自社工場なので品質には自信を持っています。」
Derrickはかなり気に入った様子。そうだろうね。作りが違うもんね。エレキギターってブランドイメージで買う要素も多いけど、道具として使う人は求める部分が違ってくるし、圧倒的な差はすぐに分かるよね。
壁の上の方に飾られているSTRのセミアコも弾かせてもらう。トラ目が綺麗なナチュラル色のSTRギターを持って離さないDerrick。STRは工場長が自ら1本1本を作るオーダー生産で、今だと6か月掛かるらしい。リチャードも触らせてもらったが敢えて弾かない。恋しちゃったら大変。50万位するらしいよ。木材もパーツも選べるらしい。
■工場見学 Part 1
30分ほどの説明&試奏の時間の後、工場に行って実際にギターやベースを作っている所を見せて頂いた。
まず驚いたのが、様々な種類の木材を使っている事。通常よく知っているメイプル・ローズ・マホガニー・アッシュなどは当然なのだが、それ以外にもサクラ・トチノキ・ポプラ・マグノリアなどなど。中には1,000年前の木材を湖底から引き揚げてきたストラトシェイプのボディもあった。
木材の買い付け・確保にはかなり気を使っている様子。ハンドメイドの木工って大切ですね。
奥にある機械はボディなどを削るものらしいが、この機械を使うのは限られたベテランのみらしい。様々な木材を取り扱うので、木によって硬さも違うし、機械を使う際の力加減が有るらしい。
これ以外は大掛かりな機械は無く、まさしくハンドメイドだ。ネック成形も、棒の状態→仮シェイプされた状態→ツルツルに成形された状態(塗装前)などを見せて貰う。ネックの握りのシェイプのテンプレートを見せて貰ったが1フレットと17フレット辺りの型があるだけで、あとはビルダーの感覚だそう。
ネックサイドのポジションマークを接着している人、ネックを削っている人、ボディを磨いている人、いろいろ見れた。自分のT-MasterやT-Standardがここで生まれたと思うと感慨深い。そういえば数年前に富士重工の群馬工場で愛車のフォレスターの生産ラインを見れたのも感慨深かったな。
そうこうしている内に15:00になり、工場は休憩時間。みんな飲み物を飲んだりスマホを弄ったりしてる。その間、再びShow Roomに戻り、ギター試奏の続き。ギターウクレレや百瀬氏が最近作成したアコースティックギターなどを見せて貰う。見学には間の悪い時間に来てしまい申し訳ない。
■工場見学 Part 2
素晴らしいギターやベースに囲まれたShow Roomには何時まででも居れるのだが、15:15に作業再開の様なので、工場見学に戻る。
先ほどはエレキギター・ベースの木工エリアだったのだが、次はアコースティックギターの製作エリア+塗装・乾燥・パーツ組み込みエリア。Headwayのサクラのギターが目の前で作成中であった。繊細な作りや桜をモチーフにした可愛いインレイから、塗装前ではあるが出来上がりの美しさがイメージできる。百瀬氏が普段使っている作業エリアも教えて貰った。
塗装エリアや乾燥エリアは部屋の外から見せて貰う。乾燥室の中はストーブが焚かれていた。そういえばBacchusがお得意のオイルフィニッシュについて詳しく聞くのを忘れてしまったな。ギターの見た目で言うと、茶色や黒の木目調ってコタツみたいで好きでは無いのだが、「木」を感じられるし、ボディの色が変わっていくので使っている内に愛着が湧くし、何しろ出音が好き。
完成直前のネックの中にはBacchusやMomoseに交じってCrewsのネックもあった。割合は多くないがOEMもやっているらしい。
素晴らしいバインディングのネックを見つけてDerrickと盛り上がっていたら「そんな所まで見てくれてありがとうございます」と竹内氏。だって僕らギター大好きなギター小僧ですからね。
一通りの工程を説明してもらって2時間オーバーの工場見学は終了。最後に案内してくれた竹内氏と記念撮影。Derrickも大満足。
ディバイザーの皆様、特に竹内さん、本当にありがとうございました。日本のハンドメイド生産を感じ取りました。
おまけ:記念撮影の後ろの方に、ボディーをくりぬいた木の枠の山
■松本城
ディバイザーから車で20分の所に松本城があるので、Derrickに日本の城を見せる為に連れて行った。入場終了時間ぎりぎりに間に合い、彼とお連れの方で行ってきてもらった。リチャードは事情があって車で待機。城内の物凄い急階段に難儀したみたいだが、楽しんだみたい。
■帰りのドライブ
1回のSAでの休憩のみで、3.5時間かけて東京に戻った。帰りは暗くて景色は楽しめないので、車中、ずっとDerrickと話していた。
アメリカと日本の女性の違い。
Steve Arringtonが何故 地元Dayton OhioのMusicianではなくChicagoのPlayerをバンドメンバーにしているのか?
MUGEN Blastersのライブを観に来てくれた時の感想。
飛び入りしてくれた時にバンドメンバーに演奏でどう応えて欲しかったか?
色々なFunk Tunesについて。
好きなGuitaristの言い合い。
日本の城について。
日本の食べ物について。
たくさん話したし、びっくりな事がいくつかあったのだが、これはまた別のブログで。