シカゴから遊びに来たファンクギタリストと色々な事を話した。彼とリチャードは同い年。
いくつかの内容はびっくりだった。
話した内容の一部を紹介する。
■何故、スティーブは地元のメンバーとバンドを組まないの?
リチャ「スティーブ・アーリントンも今はシカゴに住んでるの?」
デリッ「彼は昔からデイトンだよ。」
リチャ「じゃあ、リハーサルはどうしているの?」
デリッ「スティーブ が自分のバンドでリハーサルする際には、デイトンからシカゴまで自分で車を5時間運転してやって来る。リハーサルを終えたらその日は1泊して翌日5時間かけて帰る。」
リチャ「何故、スティーブは地元デイトン オハイオのミュージシャンではなくシカゴのプレイヤーをバンドメンバーにしているの?デイトンのミュージシャンとバンドを組んだらいいじゃん?」
デリッ「そうしていた時期もあったらしいが、自分が思う音にならないのでシカゴのプレイヤーと組んでいるんだよ。」
リチャ「バリバリ弾く奴らが多いって事?以前、Chaka Khanが連れてきたバンドもそうだったけど、教会でゴスペル演りながら「俺、凄いだろ!ブリブリブリ~」って弾きまくってる奴ら。嫌いなんだよね。」
デリッ「それだよ。街によって傾向があるんだよ。」
■好きなギタリストを言い合う
リチャ「1番好きなギタリスト誰なの?」
デリッ「1番って難しいなぁ」
リチャ「じゃ、3人までね。」
デリッ「George Benson, Steve Vai, Frank Gambale」
リチャ「意外だ。そう来るなら、僕はFrank Zappa, Allan Holdsworth」
デリッ「Allan Holdsworthはイイね!」70年代~80年代のGeorge Bensonを数曲かける。デリックは殆どのギターソロをスキャットで歌える。聴き込んでいるな。
リチャ「ファンク系ギタリストだと誰が好きなの?」
デリッ「Al McKayが一番好き!」リチャードのiPhoneからEW&Fを探して数曲聴く。
リチャ「Al McKay Allstarsは観たことある?」Live In Europe / Al McKay AllstarsのPowerとAfricanoの聴かせる。
デリッ「これ、凄くいい。この音源は初めて聴いたけど素晴らしいね。Al McKayのギターのトーンも最高!もう一人のギターは?」
リチャ「Bruce Conteだよ。知ってる?」
デリッ「勿論。彼のギターのトーンも素晴らしいなぁ。」
リチャ「John Jubu Smithは知ってる?大好きなんだけど…」
デリッ「Jubu~~~! 彼は最高だよな? Jubu !!! 晴らしいギタリストだ!」
リチャ Soul Seekersの1stを聴かせる。「アルバムジャケットに黒人の顔だけ9人が載っているので見分けがつかない。どれがJubu?」
デリッ「コレだよ(笑)」
リチャ「MAZEが来日した時にJubuを初めて観て、それ以来の大ファンなんだよ。その時はFrankie Beverlyを目の前50cmの近さで観たんだぜ!」
デリッ「俺もMAZEで弾いているJubuを観た。というか、その近さでMAZEを観れる可能性はアメリカ国内では無いだろうな。」
リチャ「David T. Walkerは好き?」
デリッ「誰それ?」
リチャ「えっっっっっっっっっっっ?知らないの?」
デリッ「黒人なのか?誰それ?」
リチャ いろいろなセッション参加について、知っている限りのアーティストを伝える。ソロアルバムも2000年代のものと1970年代のものを聴かせる。
デリッ Plum Happyを聴きながら「彼はJohnny Guitar Watson系の人だね。」
リチャ 「…」
デリッ「シカゴに帰ったらチェックするよ。」
—色々なファンクバンドやギタリストについての会話が続く—
■Don Myrick from Phenix Horns
デリックの叔父様がEarth Wind & Fire Phenix HornsのDon Myrickらしい。それもあって、Earth Wind & Fireは良く聴いたらしい。
■最近、良くなかったギターの音について
リチャ「ギターのトーンと言えば、日本のビルボードライブでCon Funk Shun観たでしょ?あの時のギターの音、どう思った?」
デリッ 小声で「あれは酷い…」
リチャ「そうだよね。彼はもっといい音出せるのに、ギターは借り物だったのかな?特にエフェクターがチープすぎて酷い。」
デリッ 小声でもう一度「あれは酷い…」
■ライブの時のセキュリティについて
デリッ「スティーブ・アーリントン・バンドで来日した際もCon Funk Shunのライブの後でもそうだけど、日本のファンと写真を撮ったりできるのは嬉しい。アメリカ国内ではそういう機会はまず無いからね。」
リチャ「そうなの?お互い英語で話すんだから、もっとコミュニケーション取りやすいでしょ?」
デリッ「アメリカの場合、ライブが終わった後は、オーディアンスとは会わずにそのまま解散が普通。オーディアンスが近づいて来ても屈強なセキュリティが全部ブロックする。」
リチャ「そうか、なんとなく事情は分かる。」
デリッ「だろ?だからリチャがした様にライブ終了後にスティーブ・アーリントンと一緒に写真…なんてかなり難しいんだよ。」
■日本のソウルバーに連れて行った
リチャ「日本には沢山のソウルバーと呼ばれるMusic Barがあって、ソウル/ファンクの曲を流しているんだ。東京にお気に入りのソウルバーがいくつかあるんだよ。」
デリックは店内のレコードジャケットなど、お店の雰囲気を写真に撮りまくっている…。
デリッ「ここがその内の一つなんだな?素敵な場所だ。今度は絶対にスティーブを連れてまた来たい。」その日の夜、スティーブに詳細に報告したらしい。
リチャ「リクエストをすれば、大体のものは掛けてくれると思うよ。何かリクエストある?」
デリッ 店内に流れるP-Funkの動画にくぎ付けになっている…。「Sir Nose…」
デリッ「アメリカにはMusic Barはあるけど、こういう感じのバーは無いな。踊れるクラブならあるよ。」
■最近、気になっているギターについて
デリッ「シカゴに帰ったらGretschを手に入れるつもりだ。素晴らしいトーンなんだよ。」Gretsch Duo Jetを試奏している音源を聴かせてくれる。
リチャ「日本では価格が少し高めかな。ソウル/ファンクでGretsch使っているのってPrinceのバンドの人かAverage White Bandかってイメージだけど、ファンクな音は出るの?」
デリッ「凄いぞ!リチャも絶対に恋するはずだ!」
リチャ 恋すると危険なので、楽器屋でGretschに近づかない様にしている…。
デリッ「工場で試奏したディバイザーのギターも素晴らしかった。STRのは高過ぎてすぐには買えないが、Bacchusのストラトタイプのギターはすぐにでもレコーディングとライブで使いたい。」
■Black Musicと呼ぶのはOKなの
リチャ「日本人の感覚として使ってよいかどうかが分からないので教えて。我々はソウル / ファンクを愛しているし、アーティストに対してリスペクトしている。で、我々は総称して『ブラック・ミュージック』という単語をよく使っているんだけど、それはOK?」
デリッ「言いたい事は分かる。OKだよ。日本のファンクファンがどんな感じなのかは、一度来日したら分かるしね。」
■Pam Grier(パム・グリア)
リチャ「BlackとかBrownとかっていえば、Pam Grier、大好きなんだよね。どうなの…」
デリッ くい気味に「Wow!大ファンだ!我々のセックスシンボル、大好きだよ。」
リチャ「CoffeyとかFoxy Brownは観た?」
デリッ「もちろん!彼女が主演の映画を沢山見た。」スマホで彼女の画像を検索して沢山見せてくれる。
■日本の女性について
リチャ「日本は過ごしやすい?」
デリッ「過ごしやすいし、日本の女性はイイね。」
リチャ「そんなに違う?」
デリッ「もちろん人によると思うけど、基本的に違うと思うよ。特に自己中心的な度合いが比較にならないくらい違う…」
デリッ「Blackbyrd McKnightの奥様もいい人だし、CFSのライブで会ったけどPhilip Wooも日本人と結婚して日本に住んでいるんだね?」
リチャ「故Eric Galeの奥様も日本人だし、Paul Jacksonはずっと日本に住んでいるよ。最近、ライブ観たけど凄いグルーヴだった。」
デリッ「Paul Jacksonは日本に居るのか!?彼はレジェンドだよな。日本人と一緒になった人達はみんな賢いと思うよ。」
■日本の食べ物
リチャ「日本の食べ物はどう?」
デリッ「どれも美味しいよ。」
リチャ でも、一緒に居酒屋に行った時はおでんの大根は食べなかったし、てんぷら蕎麦に入っているカマボコ的なものは避けていた。鮨も含めて生はダメ。生卵もダメ。
リチャ「日本のポテトチップが食べれないって聞いたけど、なんで?」ホテルの部屋に置いてあったポテトチップを食べようとしてダメだったらしい。
デリッ「あれはポテトチップじゃない。匂いが違う。」
リチャ 日本のポテチは美味しいと思うけどな。アメリカのポテトチップ、どこかで入手して食べてみよっと。
■バンドでグルーヴを出すにはどうしたら良いのかアドバイス
リチャ「MUGEN Blastersのライブを観に来てくれてありがとう!お飛び入りもしてくれて、すごく刺激になったよ。」
デリッ「日本のミュージシャンと演奏出来て楽しかった。」
リチャ「前にもやり取りしたけど、生で演奏を聴いた際の感想を教えて欲しい。グルーヴを出すにはどうしたらいいと思う?」
デリッ「前にも言ったけど、ファンク グルーヴを出したいなら、その世界を聴きまくって自分で感じないとだろ?スタートラインはそこだよ。」
リチャ「あまりファンク聴かないメンバーがいる場合は?」
デリッ「ファンク聴かないのに何でファンクバンドやってるんだ?」
リチャ「…」
デリッ「バンドは基本的なグルーヴを練習してみたらどう?James Brownがいいよ。」Sex Machineを聴きながら、ドラム・ギター・ベース・キーボードのフレーズを歌って説明してくれる。
リチャ「その間の取り方はMUGENでも練習してる。でも、もっと明確にやってみるよ。」
デリッ「各パートはシンプルなのにバンドとしてグルーヴしてる。余計な音は入れない。演奏していない時間(Out)が大切。じゃないとデイトンのプレイヤーと同じだ。」
リチャ「今、歌って教えてくれたOneの位置もバンドで練習してみる。」
デリッ「各パートが出す音もフレーズをなぞるだけではダメ。ラインをなぞる演奏テクニックがある事とグルーヴを出す事は関係無いんだから。」
リチャ「解る。」
色々なサンプルを聴きながら、それを口に出して分かりやすく歌ってくれる。
自分が知らないファンクの曲でも、1コーラス聴けば2コーラス目からはホーンセクションやドラムのフレーズ・リズムをほぼ正確に歌える。(音程があっているとかそういう問題でなく)
耳がイイとはこういう事か、と実感した。
まだまだ、書ききれない…。