Jazz Guitarist、Vic Juris(ヴィック・ジュリス)が参加するライブを観に行ってきた。
Frank Catalano & Jimmy Chamberlin Quintet Live @ Cotton Club Tokyo 2016/5/11 2nd Stage。
火曜日にライバーでSAX PlayerのOZさんが呟いたのがきっかけ。
「コットンしたい。」
それだけならいつもの事!?なのだが、その呟きにVic Jurisの1stソロアルバムの写真が貼ってあった。なんでっ?
「Vic Jurisが来日する事になったのか?知らなかった。いつ来るの?」と思って調べてみたら、なんと来日中だった。火曜日から金曜日までCotton Clubで公演。サポートメンバーとして来日しているらしい。知らなかったぁ~。VicとはFacebookで繋がっているので確認すると、ホテルの部屋から東京ドームシティーのジェットコースターを見下ろす写真がアップされてる。ホントに来てるぞっ!
リチャードの中で聴きまくったジャズギターはこんな感じ。世代分けはリチャード個人の勝手な解釈です。
第1世代のギタリスト達
Charlie Christian(チャーリー・クリスチャン)
Wes Montgomery(ウェス・モンゴメリー)
第2世代のギタリスト達
Kenny Burrell(ケニー・バレル)
Grant Green(グラント・グリーン)
Tal Farlow(タル・ファロー)
第3世代のギタリスト達
George Benson(ジョージ・ベンソン)
Joe Pass(ジョー・パス)
Pat Martino(パット・マルティーノ)
第4世代のギタリスト達
Grant Geissman(グラント・ガイスマン)
Karl Ratzer(カール・レイツァー)
Vic Juris(ヴィック・ジュリス)
有名なアルバムは買って聴いたりライブに行ったりしたが、聴き込むまでに至らなかったのJazz Guitaristもいる。
Django Reinhardt(ジャンゴ・ラインハルト)←もちろんライブを観に行った事はない
Barney Kessel(バーニー・ケッセル)
Jim Hall(ジム・ホール)
Pat Metheny(パット・メセニー)
Vic Jurisは70年代後半にMUSE Recordsレーベルから1stソロアルバムを出していて、80年頃に2ndソロ「Horizon Drive」。2ndアルバムが出てすぐにこれにハマった。少しFusionが入ったJazzで聴きやすかったのもある。この辺りのアルバムが未だにCD化されないので手元に残っているレコードから音源を落とすかYouTubeで聴いている。生で観た事が無かったので、なんとか観に行きたい。という訳で翌日 水曜日の2ndステージに急遽 観に行ってきた。公演自体は「フランク・カタラーノ & ジミー・チェンバレン・クインテット」なのだが、ヴィック以外は全く知らないメンバー。どんな感じの演奏なのかも予備知識無し。気にしない。あれ、ベーシストは女性らしい。
公演当日に予約したのだが、最終日以外は十分な空席があるみたいだ。
2ndステージ開場時間の10分前に到着したら、自由席整理番号は5番。自分の後ろは居ない。Cotton Clubで音楽を楽しむ際、時間にガツガツしないで始まる頃に来ても大丈夫な雰囲気は好き。中に入るとVic Jurisの正面にかぶりつく事が出来た!
レスポールの様な形のフルアコとFender TwinReverbがセットされていて、見ても良く分からないペダルが2つ。サポートメンバーではあるものの、Vicはステージの前の方に立つんだね。
Fender Twin ReverbはCh1側のHi Inputを使っていてVolume 7, Treble 5, Middle 4, Bass 4の設定。
席を確保して、ドリンクをオーダーして、ステージの写真を撮った後、喫煙スペースに向かった。タバコに火をつけると小柄な黒人がニコニコにながらやって来た。
小柄なニコニコ「ショーは楽しんだ?」
リチャ「まだ観てないんだ。2ndを観るんだよ。」
小柄なニコニコ「OK、楽しんで!」
リチャ「Vic Jurisの大ファンなので彼を観に来たんだ。だから他のメンバーを知らないんだよね。もしかしてプレイヤーの人?」
小柄なニコニコ「ピアノ弾いてる。Theoだよ。よろしく!」
リチャ「ごめん、知らなかった。僕はFunk Bnadでギターを弾いてるんだ。よろしく!日本は初めてなの?」
セオ「前にビクター・ベイリーのバンドで来日した事があるよ。彼のベース、ファンクだろっ?」
リチャ「確かに!今回の滞在、もうどこか遊びに行ったの?」
セオ「Yeah! 新宿のDisk Union !、最高だっ!アメリカには、もうレコードショップは無いんだよ。日本は最高だ!」
リチャ「Disk Unionは最高だよね。店員さんも詳しい人ばかりだし。アメリカの何処に住んでるの?」
セオ「New York City。ニューヨークにはレコードショップもCDショップも無い。ストリーミングかMP3ダウンロードだけしか無い。」
リチャ「音、悪いよね」
セオ「そうなんだよ。悲しいだろ?」
リチャ「こんな時代だからこそ、生演奏とかライブって重要だと思うんだよね!今日の演奏も楽しみ!Vic Jurisを生で観るのは初めてだし。1980年頃からファンなんだ。」
セオ「彼はレジェンドだよ。プレイも凄い。でも、とてもいい人で、エゴとかも無いし、素晴らしいよ。」
Theo Hill、人懐っこいキーボードプレイヤーだ。一緒に写真を撮ってもらって、Facebookで友達申請しておいた。
席に戻る時、今回の恩人 OZさんが会場に到着。ギター以外のアーティストの情報を仕入れる。でも頭の中はVicでいっぱい。
本番前にTheoがFacebookの申請をAcceptしてくれていた。
定刻に演奏開始。
Vic Juris以外は彼より一回り以上若いメンバーな気がする。Theoはちょっと緊張している様に見える。ベースの女性の見た目の迫力が半端ない…。
http://merrimansplayhouse.com/UpcomingConcert-ShawnMaxwell.htm
Frank Catalano (sax)
Jimmy Chamberlin (ds),
Theo Hill (p)
Vic Juris (g)
Stacy McMichael (b)
最近、そんなにJazzを聴いていないので、あまり良く分からないが数曲知っている曲だった。コルトレーンの至上の愛とか。
今回のバンマスのFrank Catalano(Sax)が簡単に紹介しながら、どんどん曲を演奏していく。
で、Vic Jurisの演奏だけど、音もプレイも素晴らしい。他のメンバーは音数が多めのエネルギッシュな若い演奏。ギターだけはツボを突いてくる見事なサポート。ソロも長すぎず、しっかりとSaxにバトンを渡すのだが、FrankもVicをリスペクトした対応をしているのが感じられる。
ギターのボリュームを頻繁に触りながら、ギターを弾いている。
ネックを握るタイプのグリップなのだが、手がデカい。左手の親指がすっごい余っている。
ピッキングはそんなに効率良い感じには見えないのだが、ミストーン・ミスピックが無い。凄い練習の賜物って感じがする。
使っているピックはもしかしたら、Mediumくらいなのかもしれない。
右手でハーモニクスを出すのも多用する。
基本はフロントピックアップを使った音で、暖かいトーンにディレイが掛かったいかにもJazz Guitarな音。
という訳で、謎のペダルの一つはリバーブ&ディレイだった。リバーブ的なディレイ効果でかけっぱなし。Dispatch Masterという製品らしい。
もう一つの謎のペダルはオーバードライブ。
リアピックアップを使う事も多く、Jazzは珍しいと思うのでびっくりした。
リアピックアップでリズムギター(16beatのカッティング)をシングルノートでもコードでも演ったりしてる。
オーバードライブを上品に薄っすら掛けてソロを弾く曲も2曲あった。
どんどんスケールアウトしていく感じが堪らない。この歳でもこんなアグレッシブな演奏しちゃうんだ。
フワーっと音を出すボリューム奏法(バイオリン奏法)でソロを締めっくくった曲もあった。これが泣ける演奏だった。
ワザとボディーをハウリングさせるフィードバック奏法まで披露。Jazzにこの音をぶち込んでくるなんて、ホントにカッコいい。
ベースソロの際、ランニングベース+コードの4beatバッキングが秀悦。あまりにもバッチリなリズムで、一瞬ドラムもお休み。
https://m.rochestercitynewspaper.com/rochester/eastman-jazz-cafandeacute-with-vic-juris/Content?oid=2465986
Vic Jurisの空気を感じた。幸せだ。やはり生で観ないとだなぁ。
他のメンバーは皆上手いのだが、余りにもVicに目が行ってしまって…。
BassのStacy嬢は、手の甲でアップライトを弾くなど、やっぱり迫力満点。
Jimmy Chamberlinのドラムは、ちょっとロック色を感じる。クローズハイハットががっちりしまった音なので好き。
Frank CatalanoのSax、下品な音を出した時のトーンは好み。
Theoのピアノ、Vicに促されてタメて弾いたソロはとても良かった。
演奏はアンコールを入れて1時間15分くらい。ちょっと短く感じる。
でも、Vic Jurisの演奏を観れて大満足なライブだった。途中、涙出そうなくらい良い演奏だった。
演奏が終わると、全員がすぐに楽屋に戻ってしまって、握手する事も出来ず…。
荷物を持ってタバコを吸いに行くと、Theoが先に来ていた。Facebookのお礼とライブの感想を伝える。
リチャ「Vic Jurisが凄かった。観に来てよかったよ。Theoにも会えたしね。」
セオ「彼はレジェンドだよな。途中、オレのソロの時にVicがグイグイって来たの分かった?」
リチャ「あの時のセオのソロ、良かったよー!」
セオ「そうだ!楽屋に来る?Vicに紹介するよ。」
リチャ「まじっ!お願いっ!」
セオ「その前に一杯飲んでいい?」
バーカウンターに移動して、セオは「ウイスキーのロックと別のコップにソーダを入れて」と注文している。
セオ「ウイスキーはヤマ…」
リチャ「ヤマザキがイイの?」
セオ「それ。日本に居るんだからさ。オレ、あんまり、飲まないんよ。」
リチャ「おごるよ!」
セオ「いや、大丈夫!オレがおごる!えっいらないの?ほんとに?」
バーテンさん「500円です。」
1000円札を出すセオ。
リチャ「アメリカでも出演者であってもドリンクを払わなきゃいけないの?」
セオ「場所によるな。」
バーテンさんにお釣りをチップで渡そうとするセオ。結局渡していた。
彼はウイスキーのロックを持ちながらリチャードを別階の楽屋に案内してくれた。行くまでの間、Jimmy Chamberlinがいかに凄い奴かを教えてくれる。一時期、シリコンバレーの会社でCEOもしていたらしい。
楽屋に着くと、ひとりでソファーにゆったりくつろぐVic Juris。
…入りづらい雰囲気…
セオ「ヴィック、あなたのファンを連れて来たよ」
ヴィック ジロっっっ。眺めていたJazz Lifeをテーブルに置く。
リチャ「入っていイイですか?1978年の1stや80年の2ndの頃からファンで、今回初めて生で演奏聴けました。」
ヴィック「びっくりだな。古い話だ。」
リチャ「Soft MachineのJohn Etheridgeともアルバム出してましたよね?」
ヴィック「これまた大昔の話だな。まぁ座りなよ。君は目の前の最前列に座ってた人だな。」
リチャ「そうです!今日、観れて良かったです。演奏良かった。」
すでに緊張で汗びっしょりのリチャード。ヴィックは相変わらず、ソファーでゆっくりくつろいでる感じ。
リチャ「今回は初来日ですか?」
ヴィック「そんな事は無いよ。7回目くらい。初めては5年くらい前に横浜のJazz Fesだったかな。」
リチャ「全然知らなかった。」
…緊張で舞い上がっているので、訳の分からない話しに…
リチャ「東京ドームの所にあるジェットコースターには乗ったの?」
ヴィック「あれは凄い。ホテルの部屋から見えたんだよ。あんなの乗ったら死んじゃうよ。(大笑)」
リチャ「すっごい緊張してるんですが…、一緒に写真撮ってもらっていいですか?」
ヴィック「勿論だ!ここに座れ!」ソファーに座りなおしてメガネをはずすヴィック。
ヴィック「大丈夫だよ、Bro!」
セオが写真を撮ってくれた。握手したヴィックの手はデカかった。緊張しまくるリチャードの顔が…。
リチャ「もっと観たいので明日も来るかもしれません。」
ヴィック・セオ「おいで、おいで!」
突然、楽屋に連れて行ってもらったので、Cotton Clubのスタッフにはお手間を取らせてしまったが、スムースに対応して頂いて感謝です。
あと2日間あるので、Vic Jurisに興味がある方は是非観に行って欲しいと思うのです。
リチャードは昨晩に引き続き…。ぐふっ。